No.003 その他:

1. ティグリス河 Tigris (ギリシア語) ※メソポタミア文明の大河。
 …「矢のように速い川」。
  cf. シュメール語のイディギナが、アッカド語でイディグラト、古代ペルシア語
  でティグラー(ゾロアスター教の経典『アヴェスター』に用いられたアヴェスタ
  ー語では、ティグリ「矢」)になり、ギリシア語のティグリス tigrushu 「矢のよ
  うに速い川」へ。
   ちなみに英単語のタイガー tiger 「虎」も、「矢のように速い動物」としてギ
  リシア語のティグリスを語源とする。

2. ユーフラテス河 Euphrates (ギリシア語) ※メソポタミア文明の大河。
 …「大きな川」。
  cf. シュメール語の pura 「大きな」と num 「水」が、ペルシア語の ufratu と
  なり、それがギリシア語化したもの。

3. 『ギルガメシュ叙事詩』
 ※シュメール神話の英雄ギルガメシュの遍歴の叙事詩。

 ギルガメシュ Gilgamesh (アッカド語)
 …「祖先は英雄」。
  cf. ちなみにシュメール神話の神エンリル(天の父神アンと地の母神キの子)
  は、アッカド語のエン「主人」とリル「風」から「風の主人」の意味。

4. イシュタル Ishtar  ※メソポタミア文明で崇拝された女神。
 …「星」。
  cf. 豊饒、勝利、愛の女神にして「天の女主人」 Lady of Heaven 。よって、
  聖母マリア崇拝の起源と言える。

5. 神権政治 theocracy (英語) ※神の権威を背景に行われた古代の政治
 形態。
  cf. 英語の theo- は、「神(々)の〜」を意味する連結形。

6. 小アジア Asia Minor (英語) ※ヒッタイト王国やリディア王国の建国地。
 …「小さなアジア(「東、日の出」)」。
  cf. アジア Asia はアッシリア語のアス Asu 「東、日の出」に由来。アジアが
  大陸名に使用されるようになると、アナトリア半島のみを指すようになった。

7. アナトリア半島(アナトリア高原) Anatolia (ギリシア語)
 ※小アジアの別名。
 …「東方、太陽の昇る土地」。
  cf. 古代ローマがテマ・アナトリア「東方領土」として統治したことに由来。
   トルコ語では Anadolu 。

8. ボガズキョイ Bogazkoy (トルコ<テュルク>語) ※ヒッタイト王国の首都。
 …「狭い谷間の村」。
  cf. -koy は「〜の村」。ヒッタイト名はハットゥシャシュで「ハッティ人の王の城」。
  ハッティ人は、本来は『旧約聖書』にも登場する小アジアの先住民族の名前。
  ヒッタイトはその英語名。ボアズキョイ、ハットゥシャとも。現在はボアズカレ。
   アナトリア半島(高原)、小アジアのほぼ中央に位置する。